「私は言えるもん。大ちゃんの好きなとこ、沢山あるもん。私の方がお姉ちゃんより大ちゃんのこと……」
ヒック、と春香は嗚咽を漏らす。
痛いぐらい伝わってくる。
春香の真剣な気持ちが。
「うん、ありがとう」
「ゔ……ひっく…大ちゃんの馬鹿ぁっ‼︎ちゃんと言ってよっ……ごめんなって…お前なんか嫌いだって冷たく突き放してよ……」
滝のような涙を流して、俺にギュッと抱き着く春香の背中を優しく宥めるようにポンポンと叩く。
「うん。ごめん……でも俺、春香のこと突き放せねぇよ。この先もずっと春香は俺の大事な妹なんだ」
「大事な妹……?」
「ああ。すっごい大事な妹だ。だから、春香が困ってればすぐ助けに行くし、春香が笑ってれば俺も嬉しい」
昔を思い出す。
春香が小学生の頃、男子と喧嘩した時にブランコに乗って一人で泣いてたあの夜。
おばさんから春香が帰って来ないと聞いて、俺は家を飛び出して町中を探し回った。
俺が見つけた時、春香は俯きながらキコキコとブランコを少しだけ漕いでいて。
俺が声を掛けるとみるみるうちに無数の涙を流し『大ちゃーん!』って抱き付いてきた。

