「……どうしてお姉ちゃんなの?」
震える声。幼い、春香の声。
胸が苦しくなる。だけど、俺はお前の涙を男として拭ってやることは出来ない。
「どうしてだろうな……どこが好きかって聞かれたら正直すぐに出てこない。でも、生まれた時から麻里香とは一緒で、この先一緒に生きていくのも麻里香じゃなきゃ嫌だって思ったんだ」
俺は色んな女と付き合ってきたけど、どれも別れ際に言われた言葉は同じだった。
『なんで私と付き合ったの?』
『私と幼馴染、どっちが大事?』
多分、無意識に彼女と麻里香を比べたり、麻里香を優先してたんだと思う。
麻里香は特別美人でも、頭がいいわけでも、運動が出来るわけでもない。
平凡で少し天然で静かめな女だ。
だけど、俺が一番心休まる場所は麻里香の隣り。
「麻里香が告られてるのを見た時、あいつに触ったり、隣りに俺以外の男が当たり前にいるようになると思ったら許せなかった。あの時気付いたんだよ。自分の気持ちに」
麻里香に触るな。
麻里香に触っていいのは俺だけだ。
俺にも彼女がいたけど、俺は彼女に抱かなかった感情を麻里香に感じた。
多分、ずっと好きだった。
物心ついた時から、ずっと。

