凛ちゃんの声掛けに、帰ろうとしてた男子が「忘れてしまったんで明日でもいいっすかー?」と駆け寄っていく。
荷物をまとめていた女の子は「出し忘れてました! お願いします」と慌ててノートを持っていく。
なんとなくぼんやりとその光景を見る。
「っ、……!」
バチッと、まるで静電気が走ったように目が会った。
慌てて逸らす。 隣から不思議そうに見られるけど、今は顔を上げられる状態じゃない。
「……吉川?」
「はっ!!」
少しの時間が流れて、間宮の声で我に返った。
教室前方とドアを見ると、もうそこに凛ちゃんはいない。
「変なやつ。 じゃあ俺帰るな。 また明日〜」
「あ、うん、ばいばい」
あたし凛ちゃんに過剰反応しすぎだ……。
ふう、とため息をついたとき、楓と心音が心配そうに近づいてきた。
「日葵、大丈夫……?」



