あたしが話を聞いていたからといって、凛ちゃんが弁解する必要はない。
だって、あたしは恋人でもないから。
ただ、ふたりの仲に嫉妬してしまうだけなんだ……。
「確かに、容姿だけは大人びてるよな」
「……凛ちゃんは、大人っぽい人のほうが、好き?」
それはまるで、何かが切れたみたいにするりと出てしまった言葉だった。
あたし、なに言ってるの?
と、我に返ったときには、凛ちゃんが驚いた表情でこちらを見ていた。
「あ、ごめん……! 何でもないの。 ほんと、気にしないで」
凛ちゃんが口を開く前に、謝る。
そうすると、彼は黙ってしまう。 聞いてはいけないと口を噤む、優しい凛ちゃん。
優しい凛ちゃんに、いつも甘えている。
「……映画の話だけど、やっぱりなしでいいよ! 凛ちゃんテスト前で忙しいでしょ? あたしも受験生だし、頑張ろうかなって思ってさ」
話題を変えて、一息で喋る。
凛ちゃんに「大切な子」がいると知った今、以前のように付き合ってはいけないと思った。