きみ以上に、好きな人はいない






……女のカンってやつ?


そう考えると身震いがした。



ーーコンコン。


美浜先生がいなくなってから、数学準備室のドアをノックした。


ふたりの話を聞いてしまったし、今日は会うのやめようと思ったけど……。



「……どうぞ」



凛ちゃんと話したい。


幼なじみとして接することなら、できるから。



「やっほー凛ちゃん!」


「テンション高いな」



少し呆れたように笑う凛ちゃん。


机の上には、コーヒーが置いてある。



「そこで、美浜先生と会ったか?」


「えっ……」



凛ちゃんから美浜先生の話題に触れてくると思わなくて、目を丸くする。


あたしは映画の話だけして帰るつもりだった。 だって、凛ちゃんの「大切な子」なんて、知りたくない。



「美浜先生は、大学が同じだったんだよ。 サークルが一緒だった」



その言い訳じみた言葉は、彼女とは何もないと言いたいように聞こえた。


凛ちゃんの本心が、見えない。



「そ、そうなんだ……。 クラスの男子、大喜びだよ! 美浜先生、キレイだから」