きみ以上に、好きな人はいない






「こんにちは。 九条先生に用?」



あたしの変な態度は気にもとめず、涼しい顔をしている美浜先生。


クールだなぁ……。 さっき凛ちゃんへの想いを熱く語っていた人と同一人物だとは思えない。



「はい。 数学のことで……」



早くこの場から逃げたくて、数学準備室に駆け込もうとしたとき、美浜先生にドアを閉められてしまった。


とびきりの美人と至近距離で目が合う。



「あなた、話聞いてた?」


「っ……」



思わず言葉に詰まる。


最初から全部聞いていましたなんて、口が裂けても言えるもんか。



「……まあいいわ。 生徒1人に知られたところでどうってことない」



あたしが聞いていたとにらんだらしい。


それでもクールな面持ちは崩れない。



「4週間、よろしくね。 それじゃあ」



その言葉は、あたしに凛ちゃんとのことを黙っておくよう牽制しているみたいに聞こえた。


あたしが凛ちゃんと幼なじみで、彼が好きなことを美浜先生は知らないのに、筒抜けになっているような気がした。