きみ以上に、好きな人はいない






お母さんは機嫌よさそうに「早く座って」とあたしたちを急かす。



……もう、そういう単純なところ、あたしとそっくりだなぁ。


親子だから、仕方ないのか。



4人掛けのテーブルに、あたしと凛ちゃん隣同士で座る。


すると、凛ちゃんの向かいに座るお母さんが口を開いた。



「凛くんはひとり暮らしするの?」


「はい。 大学もひとり暮らしだったし……。 社会人になるのに、今さら親と一緒に暮らすのもと思って」


「あらー、また隣に凛くんが住んでくれたら喜ぶのに。 日葵が!」


「ゴホッ」



お母さんに突然ふられて、焼きそばがのどにつまる。


びっくりしたぁ。


グッとお茶を飲みほして、落ち着かせる。


不意打ちはよくないよ。



「はは、大丈夫か? ひま」


「へーきへーき」


「ひまは俺が隣に住んだらうれしい?」


「ゴホッ」



……あたしは何回、焼きそばをのどにつまらせたら気が済むんだ。