ドキッと心臓が跳ねた。
美浜先生の言葉は、あたしの本音のような気がした。
想いを伝えることはできないけど、好きでいたい。 それって、諦めたくないと紙一重だ。
美浜先生は堂々と伝えているけど、あたしの気持ちと重なってしまう。
「大切な子がいるって言ったろ」
「じゃあその子のこと教えてくださいよ」
「話さない。 ……百合、おまえ美人なんだから俺にこだわる必要ないだろ」
「誤魔化さないでください! あたし……本気で凛さんが好きなのに……」
聞いてはいけないことを耳にしたと、今更ここに来たことを後悔した。
凛ちゃんの大切な子って誰なの……。
ーーキュッキュッ。
ドア越しにこちらに歩いてくる足音が聞こえて、後ろへ飛び退いた。
ど、どこか隠れる場所……!
おろおろと周りを見渡したけど、もうすでに手遅れ。
数学準備室の扉が開いた。
「こ、こんにちは……」
ドアノブを握ったままあたしを見つめる美浜先生に、ぎこちなく笑うことしかできない。



