ーー翌日。



「えー、今日からこのクラスに教育実習生が来る。 美浜(みはま)先生、どうぞ」



朝のHRで担任にそう紹介されて、教室へ入ってきた女性。


男子がこそこそ話したり顔を見合わせていて、ざわついてるのがわかる。


それもそのはず。



「美浜百合(ゆり)です。4週間という短い期間ですが、1組で勉強させてもらいます。 よろしくお願いします」



とっても美人だから。


腰までありそうな黒髪を1つに束ねていて、切れ長の瞳をした綺麗な人。


一見クールな印象だけど、目を細めて笑うと幼さがあってかわいい。



「百合せんせーい! 彼氏いるんですかー?」



出た、恒例の質問。


クラスでもお調子者の男子が意気揚々と手を挙げている。



美浜先生は困ったように笑っていたけど、やがて、ゆっくり口を開いた。



「……好きな人ならいますよ」



「おー!!」と盛り上がりを見せる男子に呆れる女子たち。


3年生なんだから、もう少し大人っぽくなってもいいのにね。



「あれ? 間宮は静かだね」