「凛ちゃんのケチ」と言おうとしたけど、しつこいかなと思って口を閉じた。
凛ちゃんは困った顔で笑っていて、ほんとになにも言えなくなった。
少しだけ、思ったことは、先生と生徒という関係だとしても、気持ちがあるなら、いけない恋じゃない。
肩書きって時には邪魔なんだと思う。
「凛くーん! 日葵ー!」
リビングからあたしたちを呼ぶお母さんの声が聞こえて、時計を見上げた。
もうお昼ご飯の時間か。
そういえば、お腹空いたなぁ。
「凛ちゃん行こ! お腹空いたでしょ」
「……ああ」
凛ちゃんとリビングに向かうと、テーブルには焼きそばが並んでいた。
ソースのいい香りが鼻をくすぐる。
「ごめんねえ、凛くん。 これから買い物行こうとしてたからたいしたものなくて」
「いえ、日菜子さんの焼きそばおいしいですから」
「あらあら、凛くんはほめ上手ね〜」



