甘い声に、クラッとした。
まるで、おねだりするみたいな。
「え、や、あの……」
「ダメ? じゃあ、抱きしめていい?」
「へっ!?」
な、なんなの、凛ちゃん……!
あたしはどうしたら正解なの? まあ、正解以前になにもできない状態だけど……。
「時間切れ〜」
「ひゃあ!」
二の腕の下に凛ちゃんの手がするりと入ってきて、あっという間に抱きしめられた。
凛ちゃんスキンシップ多くない〜!?
「すごいホッとするんだよな」
「そうなの?」
「うん。 抱き枕みたいで」
抱き枕って……! あたしは人形と同じなんかい!
女として意識されてるなんて、みじんもなさそうだ。
「そ、そろそろ離れてくれないとあたし寝れない……」
どう頑張ったって、抱きしめられている状態で寝ることができない。
それなのに凛ちゃんは「羊数えてあげる」なんて言い出した。
「そういうことじゃ……」
「羊が1匹ー、羊が2匹ー」
「もう、凛ちゃん!!」