ふわふわ、ふわふわ、と。
体が浮いているような感覚に、うっすらと目を開けた。
「ん……?」
「あ、悪い。 起こしたか?」
すぐ近くに申し訳なさそうな、凛ちゃんの顔。
あたしの足は、床についていない。
ふわふわと体が浮いている感覚は、夢じゃなかった。
あたし、お姫様抱っこされてる!?
「わ、えっ、なんで……」
「ソファーで寝てたから、ベッドに運ぼうと思って」
「そ、そっか、ありがとう……! でも、もう起きたし自分で歩くよ」
なんだか恥ずかしいもん!
それなのに、凛ちゃんは「もう抱き上げたからダメ」とほほ笑む。
優しい笑顔で断られた……!
「よし、降ろすよ」
「重いのにごめんね。 ありがとう」
「全然。 歯磨きしてくるからひまは先に寝てて。 電気も消しておくね」
「はーい。 おやすみなさい」
凛ちゃんが部屋から出ていくと、壁側に向くように寝返りを打った。
シングルベッドにふたり寝ると、けっこう近そうだなぁ……。
すぐに凛ちゃんが戻ってくると思うと、なかなか眠れない。