「じゃあお願いします!」
「おまかせあれ」
凛ちゃんは執事のように胸に手を当てて、軽く会釈をするように頭を下げる。
変な凛ちゃん。 おもしろいからいいけど!
「小さい頃もひまの髪乾かしてたね」
「そうだったね〜。 へへ、懐かしいなぁ」
ドライヤーの風が頬をかすめる。
後ろに凛ちゃんがいて、あたしの髪を優しい手つきですいていく。
ドキドキするけど、なんだかホッとする。
凛ちゃんに勉強を教えてもらったり、一緒に遊んだり、お出かけしたり……。
些細なことでも、大切な思い出がたくさんある。
その思い出を今もこうして共有できるって、幸せだなぁ。
「あっ……」
壁にかかる時計を見ると、22時を回っていた。
もう寝てもいい時間だ。
と考えると、急にドキドキのほうが大きくなってきた。
凛ちゃんと同じベッド。
きっと、今夜は……長い夜になる。