さり気なくあたしの苦手教科まで覚えてるんだから。 腹立つ。
なんて、ちょっとうれしい。
離れているときも、たまにはあたしのことを思い出してくれたのかな、なんて期待してしまう。
「なあ、もしさ、もしも……」
考え込む仕草を見せる凛ちゃん。
瞳が伏せられると、長いまつ毛は頬に影を落とす。
もしも?
もしも、ってなに?
「もし、先生がひまのこと好きって言ったらどう思う?」
先生?
それって誰のこと? あたしの担任?
だったらありえない。 おじさんだし、結婚してるし。 それでも好きなんて言ってきたらおかしい。
〝先生〟は、誰のことを指してるの……?
「や、なんでもない。 悪いな」
なにも言えないでいると、凛ちゃんが気まずそうに謝った。
どういうこと……?
「えー、気になる」
「ごめんって。 聞かなかったことにしてよ」



