きみ以上に、好きな人はいない






今も、これからも、凛ちゃんが好きな気持ちは変わらない。



たとえ、どんなことがあったとしても。



「ひまは来月から受験生か」


「うん、まあ。 そうだね」



あたしのやる気なさげな返事に、黒色の瞳が楽しそうに揺れた。



凛ちゃんは、うらやましいくらいの二重で大きな瞳をしている。


若干つり目だけど、にこにこしてるから、むしろ優しい印象しか受けない。



「俺が勉強教えてあげよっか?」


「えー?」


「なんだよ、その疑いの目は。 俺、これでも教員免許持ってるんだからな」



知ってるよ。


中学のときからずっと教育学部を目指して勉強してたことも、それを叶えたことも。



あんまり勉強の邪魔しないのよーってお母さんに言われていたけど、遊びに行ってたっけ。


あたしが小学生のとき、凛ちゃんは中学生で、いつも遊んでくれてた。



「数学の先生になるの?」


「ん、そうだよ。 理系が苦手なひまにはうってつけだろ?」