黒を基調とした、おとなっぽい部屋。
こういうシックな部屋、憧れるな〜……。
「難しそうな本がいっぱいある……」
「数学のばっかりだよ。 ひまの敵だな」
「て、敵じゃないし……。 あ、ねえ! ベッドに寝てみてもいい?」
真っ黒なベッドを指差す。
すると、「えっ」と、小さく声をもらして目を見開いた凛ちゃん。
……ん?
そんなに変なこと、言ったかなぁ。
「寝てみていいよ。 でも、どうなっても知らないからな」
どういうことだろう?
疑問は残ったままだけど、掃除で疲れていたのもあって欲望のままにゴロンと寝転がった。
気持ちいい〜……!
このままお昼寝したい。
うとうと、思わず目をつむる。
目をつむると、聴覚がよく働く。
ガサゴソと音がする。 凛ちゃんが部屋の片付けをしているみたいだ。
「……凛ちゃん」
「んー?」
「なんで背中向けてるの?」
凛ちゃんは本棚を整理していて、あたしには顔も見えない状態だ。