お父さんを除くと、男の人の車に乗るのは初めてだ。
車は、新しい匂いがするけど、凛ちゃんの香りもするような気がする。
「車、いつから乗ってるの?」
エンジンをかける凛ちゃんに尋ねてみる。
荷物は足元に置いて、シートベルトも締めた。
「免許取ったのは大学入ってすぐかな。 でも車を買ったのは、3年生の夏くらい」
「自分のお金で買ったの!?」
「おー。 バイトで稼いだお金で買ったよ」
すごいなぁ……! 勉強だけじゃなくてバイトも頑張ってたんだ。
凛ちゃんは「じゃあ行くよー」と、ギアをドライブに入れ、ゆっくりと発進した。
「10分もかからないけど、ゆっくりしてていいからな」
「は、はい……!」
「緊張してるの?」
「してません!」
ちょうど赤信号になり、また車がとまる。
車内は洋楽が流れていて、静かってわけではないんだけど……。
ふたりきりの空間は、緊張してしまう。
「……結んでるのも、似合ってるね」



