「あ、髪……染めなかったの?」
「ひま、大学生は髪染めるものだと思ってんだろー」
「んー、だって卒業して染めてる先輩いたし……」
凛ちゃんはキレイな黒髪をしているけど、茶髪も似合うだろうなって思ったから。
ただ、見てみたいなって。
凛ちゃんは、ふうん、とあたしを見たあとおどけた表情をする。
「俺はまじめだから染めませーん」
「ウソだ」
「いや、そこは信じろよ」
まじめな顔でツッコんでくる凛ちゃんに、思わず笑みがこぼれる。
ねえ、凛ちゃんわかってる?
1年ぶりに会った凛ちゃんがさらにかっこよくなってて、ドキドキしてること。
生まれたときから、隣の家には凛ちゃんが住んでいた。
慕う気持ちが恋心に変わるのに、そう時間はかからなかった。
はっきり恋だと自覚したのは、中学生のときかなぁ。
それからずっと、あたためてきた大切な気持ちだ。



