きみ以上に、好きな人はいない






片付けすると汗をかくと思ってポニーテールにしたけど、いつもと違う髪型にするのはドキドキしてしまう。


会う相手が好きな人だと、なおさら。



エレベーターを降りてマンションのエントランスを抜けると、凛ちゃんの黒い車がとまっていた。



「久しぶり。 ひま」


「昨日も学校で会ったじゃん」


「そうだけど、授業はなかったし。 あと、私服だからかな? 新鮮だね」


「あんまり見ないで……」



スキニーとTシャツという至ってシンプルな格好。 そんなにまじまじと見られるほどかわいくないのに。


うつむいていると、凛ちゃんの優しい笑い声が聞こえた。



「どんな格好でもかわいいよ。 じゃあ行こうか。 今日はよろしく」



スマートな動作で、助手席のドアを開けてくれる凛ちゃん。


でも、凛ちゃんの優しすぎるセリフが頭を支配していて、体が動かない。



「ひま? ほら、乗って」


「え、あ、うん!」



凛ちゃんに手を引かれて、ドキッとする間もなく車に乗り込む。


最初からこんなので、今日1日大丈夫だろうか……。