7階に着いて、エレベーターを降りる。
あたしの家は、703号室。
そして、隣が……。
ーーバンッ!
「わっ!!」
廊下を歩いていると、702号室のドアが勢いよく開いた。
び、びっくりしたー!
目を丸くして見ていると、照れくさそうに視線を向けてくる女性。
「ひまちゃん、ごめんね。 ちょっとつまずいちゃって……」
きれいな黒髪と二重の瞳。
ひと目で、凛ちゃんのお母さんだとわかる。
「杏奈さん大丈夫……!?」
「大丈夫よ。 新しい靴を買ったんだけど、ヒールが少し高くて」
「わー! かわいい靴! 杏奈さんおしゃれだなぁ」
杏奈さんの元に駆け寄り、靴をじーっと見る。
淡いピンク色のヒール靴。 すごく、素敵だなぁ。 若々しい杏奈さんにぴったしだ。
「若作りしちゃった!」
「いやいや、杏奈さん十分若いよ!」
「あらあら、ありがとう。 ひまちゃん」
ゆるく笑ってみせた杏奈さんの笑顔に、凛ちゃんが重なる。