すごく意外だ。 凛ちゃんのことだから、もうとっくに片付けてるかと思った。
驚くあたしを見て「意外だった?」と目を細めて笑う凛ちゃん。
「そりゃあだって、凛ちゃんの部屋いつも綺麗だったもん。 お母さんも見習いなさいって言ってくるくらいだったし……」
「そうだったんだな。 いや、やっぱり実家暮らしとひとり暮らしは違うよ」
確かに、自室だけではなく家ぜんぶ、自分ひとりで片付けると思ったら気が遠くなる。
あたしにはむりだ……。
「こんなとき、手伝ってくれる彼女でもいたらなぁ……」
「えっ!」
「ごめん。 ただの独り言だよ」
そんな独り言、あたしが聞き逃すわけない。
凛ちゃんに彼女……。 考えもしなかったけど、彼女がいるとしたら、あたしは失恋確定なんだね……。
「か、彼女じゃないけど! あたしが手伝いにいくよ!」
思わず、叫ぶように言ってしまった。
ハッと気づいたときにはもう遅い。 凛ちゃんがポカンとした顔であたしを見ている。
「ははっ、ありがとう。 ひまは優しいな」