名前を呼ばれた直後、ノックもなしに、ドアは開けられた。


戸惑っていると、視界にスラリとした長い足がうつった。



「久しぶり、ひま。 元気だった?」


「凛ちゃん……」


「ん? どうかし……いだっ!」



あたしが投げつけたクッションは、見事に凛ちゃんの顔面にヒットした。


大して強くはなかったと思うけど、驚いたらしい凛ちゃんは、その場に座り込んだ。



ていうかね、このくらいの仕打ちは普通だよ! 仮にも女子高校生の部屋にノックもなしで入るなんて……!



「ノックくらいして入りなよ! 失礼しちゃう!」



腕を組んで、ふんっと顔を背ける。


もう、凛ちゃんにはデリカシーがない!


あたしは緊張してたっていうのに!



「くっ、ははは……ほんと、ひま最高」



座ったまま笑いだした凛ちゃんに「は?」と般若のような形相を向ける。


それでも、凛ちゃんは優しく笑った。