きみ以上に、好きな人はいない






せ、積極的だな……。 わたしが話しかける隙間もないよ。


爽やかな笑顔で女の子たちと接している凛ちゃんを見ると、心の中がもやっとした。



「吉川さんはああいう男、好み?」


「えっ、あー、どうかな。 か、かっこいいとは、思うよ」


「へ〜……そうなんだ。 てか、すげー声裏返ってるけど、大丈夫?」


「だ、大丈夫だよ! 何でもないから!」



そう、何でもないんだよ……。 凛ちゃんが女の子と話してることなんて、彼が教師である限り気にしたって仕方ないの。


みんなの九条先生なんだから。



「そっか。 あのさ、話変わるんだけど、吉川って呼び捨てでもいい? 俺、さん付け苦手なんだよな」



くしゃっと恥ずかしそうな表情で笑う間宮くんに、あたしも笑顔を返す。



「いいよ〜! あたしも間宮って呼ぼうかな!」



せっかく同じクラスになったんだから、呼び捨てのほうが親近感わくよね!


そんな会話をしていると、3年生も退場し始めていた。