きみ以上に、好きな人はいない






ドキドキ。 胸に手を当てるとわかる。


心臓がうるさい。



凛ちゃん。


春休み、遊びに来たときに、どうしてこの高校の先生になるって言わなかったの?



あたしをびっくりさせようと思った、とか!?


ただ、話すのを忘れていただけ?



「……吉川さん?」


「へ?」


「気分悪そうだけど、大丈夫?」



隣から、心配そうな声。


ステージを見ないようにしつつ、声がしたほうへ顔を向ける。



「間宮くんありがとう。 大丈夫だよ!」


「そーか? ならいいんだけど。 そろそろ始業式終わるみたいだな」



間宮くんは少し眉をひそめたあと、あごでステージを示す。



「あの新任教師、人気だな」


「……へ?」



反射的にパッと顔を上げる。



うわぁ、早速すごいな……。


2年生から順に体育館を出ていく中、3年生の中でも目立つ派手な女の子たち数人が凛ちゃんを囲んでいた。