きみ以上に、好きな人はいない






凛ちゃんを好きだって気持ち、伝えることはできない。



教師と生徒。


それが、あたしたちの新しい関係だから。



幼なじみでも、表向きは教師と生徒という関係でしかない。


教師という肩書きを背負った凛ちゃんは、もう、遠い存在だなぁ……。



ぼんやりと凛ちゃんを見つめる。


スーツ姿、かっこいいなぁ。 凛ちゃんスタイル抜群だもん。 すごく似合ってる。



「っ、……!」



ステージに立つ凛ちゃんと、体育館に大勢いる生徒のうちのひとり。


まさか、目が合うと思わなくて……。



凛ちゃんより早く、視線を逸らした。


俯くと、黒ソックスに穴が開くんじゃないかってくらい見つめて、ぎゅっと目を閉じる。



「平常心……」



周りの子たちはみんな凛ちゃんに釘付けで、あたしのことなんて気にしていない。


落ち着け、落ち着け。 と、心の中でとなえる。