「お邪魔します!」



ゴールデンウィーク初日、ひまは泊まり道具一式を持って、俺の家にやってきた。


一体どんなことを考えてくれているのか、少し緊張した表情にも見えるひまを見て、にやけてしまいそうになる。



「ずいぶん大荷物だね。 持つよ」


「ありがとう! あれもこれも必要と思ったら、つい……」



小さいカバンを斜め掛けして、大きめのカバンをひじに持ち、その先の手には紙袋が握られている。


あ、その紙袋は……。



「これケーキだから冷蔵庫にお願いします!」



近所にあるケーキ屋さんの紙袋を受け取る。 ひまが片付けを手伝いに来てくれた日にも貰ったものだ。


昔からあるなじみのお店で、ケーキといえばここ、と思っている。



「迷っちゃって、ショートケーキとチーズケーキとチョコケーキ買っちゃった。 あとマカロン」


思わず笑いながら「そんなに食うの?」と返すと「もちろん凛ちゃんが選んでから、余ったものは頂くよ!」と頬を染めている。


何個でも、好きなもの食べてほしい。 ひまを前にすると、甘やかしたい欲しかない。