きみ以上に、好きな人はいない






いわゆる、凛ちゃんも「かっこいい先生」と言われる部類の人だ。


いいなあ~。 凛ちゃんが勤める高校の子たち。


凛ちゃん優しいから、きっとみんな好きになっちゃうよ。



「あ、先生来たよ!」



誰かの声で我に返り、あたしは自分の指定された席に急ぐ。


名字が吉川(よしかわ)だから、心音の席から遠い、窓側の1番後ろ。


心音と楓からはうらやましいって言われる席だろうけど、あたしはふたりと近くのほうがうれしいなぁ。



「……吉川さん?」



席に着くと、タイミングよく隣の席の人に話しかけられた。


声のしたほうを向くと、ちょっと考え込む。


誰だっけ……? 見たことあるな。



「俺、間宮陽向(まみやひなた)。 隣の席だし、よろしくな」


「吉川 日葵です。 こちらこそよろしく」


「知ってるよ。 去年委員会同じだった」



あ~……だから、顔は見たことあると思ったんだ。