「前からずっと考えてたんだけどね」
「ん?」
高校を卒業したひまは無事大学生になり、社会人2年目となった俺は副担任をすることになって忙しくしていた。
もうすぐそこにゴールデンウィークが迫っている4月の日曜日、俺の家に来ていたひまが唐突にそう切り出した。
「凛ちゃんの誕生日お祝いできなかったでしょ? だから、誕生日会したいなって!」
俺の誕生日は1月で、確かにその時期はひまと会えなかったし、センター試験間近でそれどころではなかった。
俺自身、誕生日を忘れていたくらいだし。
「あたしの誕生日はお祝いしてくれたのに……」
ひまの誕生日は先月の末。 卒業したばかりで外でデートするのも難しいと思って、日菜子さんに協力してもらい手作り料理でちょっとしたパーティーをした。
その時に、正式に付き合うことを報告できたし良い機会だったと思う。
「いいよ、誕生会なんて。 ひまがいてくれたら」
「ま、またそんなこと言って!」