凛ちゃん……!
そのたった一文に、ときめいて、走り出しそうになる。
「あの、あたし! いってきていい?」
「どうぞどうぞ、いってらっしゃい」
「待ってるからね〜」
楓と心音に見送られて教室を飛び出し、賑やかな廊下を早足で駆け抜ける。
「わっ、すいません!」
廊下には1、2年生も集まっていて時折ぶつかりそうになりながら、気持ちがはやってしまう。
数学準備室のある棟は、教室がある棟はうってかわって、しんとしていた。
あたしの歩く音だけが響いて、目的の部屋の前でとまる。
ーーコンコン。
「……どうぞ」
凛ちゃんの声が聞こえて、ドキッと心臓が跳ねた。
なにから話したらいいかな……。 深呼吸して高鳴る胸を落ち着かせる。
大学、受かったよ。 楓と心音も一緒なんだよ。 がんばって先生を目指そうと思ってるんだ。 あと、それから……。
ドアノブを握ったまま、そんなことを考える。
「……いつまで焦らすの」



