きみ以上に、好きな人はいない






「ーー吉川日葵」


「は、はいっ!」



声が裏返りそうになりながら返事をして、証書を受け取る。


体育館にいる全ての人の視線が、あたしの背中に突き刺さっているような気がする。



カチコチになりながらも自席に戻ると、ふ、と左側から視線を感じたような気がした。


卒業証書を視線を落とす……ふりをして、そちらを見る。



「……っ!」



柔らかくほほ笑んでいる、凛ちゃんと目が合った。


時間にしてみたら、たった数秒だったかもしれない。


でも、確かに、凛ちゃんはあたしを見てくれていて……。 それがあまりにも嬉しい。



泣くのはまだ早い。 耐えろ、耐えろあたし。


……ああ、今すぐ凛ちゃんに抱きつきにいきたいなぁ。










「卒業生、退場」



われるような拍手に背中をおされるように、花道を歩く。


整列したまま体育館の外に一歩出ると栓が抜けたように、涙が出た。



「うっ、うぅ……」