なんていったって、今日は卒業式だ。
「言ってくれてよかった。 もう気にしないで」
「うん、ありがとう……」
彼女は友だちのところへ戻っていって、あたしはふう、と息を吐いた。
ーーさあ、もうすぐ卒業式が始まる。
「卒業生、入場」
厳かな雰囲気で始まり、緊張しながら花道をゆっくりと歩く。
保護者席からは数えきれないほどカメラを向けられているけれど、あたしはそんなことよりも……。
「………」
自分の席に腰を下ろすと、左側にチラリと視線だけを向ける。
相変わらずスーツ姿がカッコいい凛ちゃんの姿が目に入った。
淡々と式が進んでいく中、あたしの意識はほとんど凛ちゃんにいっていた。
ーーでも。
「卒業証書、授与。 1組、遊馬心音」
「……はい」
心音の名前が呼ばれ、ハッとした。
校長先生や来賓の方々の話なんて、聞いてもなかったけれど、自分の番が回ってくる。 と、固まった。



