「お疲れさま、心音」
「ひまちゃん~! 久しぶりの学校楽しみで昨日寝れなくて、寝坊しちゃった!」
遊馬心音は、楓と同じく高校に入ったときからの友達。
きれいな黒髪ロングで、調理部に所属している女の子らしい子なんだ。
おっとりした性格で、心音がいると和やかな雰囲気になる。
「3人とも同じクラスだよ!」
「ほんとに!? やったあー!」
楓と心音がうれしそうに跳ねる。
高校最後の年、楽しくなりそうだなぁ。
「教室行こっか。 1組だっけ?」
心音に続いて、昨年とはちがう靴箱でローファーを履き替えた。
昇降口からほど近いところにある階段を上っていく。
「そうだよー! 心音は1組の出席番号1番か~。 すごいね! 卒業式のとき最初にステージに上がるのかぁ」
「ええっ、もう卒業式の話~? でも出席番号1番は慣れっこだから~」
「とかいって、心音すぐ緊張しちゃうでしょ~」