色がない、って言ったけれど、あたしなりに精一杯考えて教員免許がとれる大学を目指すことにした。
凛ちゃんとは授業でしか顔を合わせることがない。
先生として生徒であるあたしを守ってくれたのは間違いなく凛ちゃんで、大好きな気持ちは揺るがない。
好きや憧れが進路に直結するなんて、単純だと思われるだろうけど、あたしは先生を目指してみようと決めたんだ。
「なあ吉川、俺と付き合ってくれない?」
「ごめん」
「即答かよ。 流れで言ったみたいだけど、マジで好きだよ。 覚えてない? 年上より同い年派って言ってたの」
「そうだっけ?」
間宮の気持ちは嬉しいけれど、それ以下でもそれ以上でもない。
早く卒業して、子どもから大人に。
凛ちゃんの隣にいてもいい、大人になりたい。
それまで、がんばるから、あたし。
「日葵、お正月くらい勉強休んだら?」
冬休みに入り、ラストスパートという時期、お母さんにのんびりした口調で話しかけられた。