「承知しております。 生徒たちが志望する進路先へいけるように力添えをするのみです」



と、深く深く頭を下げた。


停学とか、あたしにも何かお咎めがあるのかと思ったら、一切ない。 これまで通り勉学に励んでほしい、って? なにそれ。


あたしは凛ちゃんになにひとつしてあげられることなんか、ないじゃん。



守られてる。 守られることしかできない。 まだ子どもだから。


凛ちゃんは大人。 子どもを守ってくれる、大人。 その立場、肩書きの違いに打ちのめされる。



「吉川さん、授業に戻りなさい」


「えっ、でも」


「戻りなさい。 大事な時期でしょう」



校長先生の言葉と他の先生たちの無言の圧に押され、あたしはふらふらと校長室を出た。


凛ちゃんの表情、一度も見ることができなかった。



あたしたちのこと、なんて話したんだろう。


何事もなく穏便にすませてしまう大人の世界。


まだ子どものあたしにはなす術がなくて、はがゆい。



悔しいけど、あたしは……。


凛ちゃんが守ってくれたことを無駄にはしないよう、真っ当に生きるだけだ。