「話は九条先生から伺ったから、吉川さんはこれまで通り勉学に励んでほしい」


「凛ちゃ……えっと、九条先生はなんて……」



背中しか見せてくれない凛ちゃんに視線を送るけど、なにも喋らない。


凛ちゃんは、なんて言ったの……?



「九条先生は優秀だし生徒から人気もある。 辞めてもらうなんてことは惜しい。 ただ、教師と一生徒が特別な仲だということは、他の生徒へ悪影響になる」



校長先生は穏やかな声で淡々と話す。


「辞めてもらうなんてことは惜しい」ということは、とりあえず教職から離れることはない?


ホッと胸をなでおろした。



「授業は仕方ないでしょう。 それ以外は一切吉川さんと関わらないこと、という約束をしてもらいました。 それを破ってしまったら九条先生、もう手立てはありません」



一切吉川さんと関わらないこと、ってそんな、凛ちゃんが悪いみたいな言い方……!


という言葉が喉までわきあがってきたけれど、その前に凛ちゃんが口を開いた。