夏休み明けの9月、始業式。 ようやく2学期が始まる。


今まで生きてきた中で、一番長く感じた夏休みだったかもしれない。



「ひ〜ま〜り〜〜〜!!」


「うわっ!?」


「ちょっとかえちゃん! 飛びかかっちゃだめ!」



教室前の廊下、とつぜん楓が飛びかかってきて変な声が出た。


横には、慌てたように楓を引っ張る心音。



「び、びっくりした……! おはよう、ふたりとも」


「日葵! 聞きたいことたくさんあるんだよ! 旅行はどうなったの、旅行は!」


「それはわたしも気になってた」



めずらしく心音も乗っかって、ふたりしてキラキラとした瞳を向けてくる。


終業式の日に、旅行の話をして以来、ふたりには凛ちゃんの話をできていなかった。


凛ちゃんに会えると思って申し込んだ夏期講習、それがなかなかに大変で、一緒に参加していた楓と心音とは「勉強したくない」だの「もう嫌」と文句ばっかりを言って発散していた。



休みじゃない夏休みなんていらなかった。 やっぱりいつも通りの日常がいちばんだ。


と、久しぶりのふたりを目の前にして思う。