「おはよ! ちょっと聞いた~!? イケメンの新任教師が来るってウワサ!」
春休み明けの、4月。
掲示板に貼られたクラス表を見上げていると、背中に誰かが乗っかるように抱きついてきた。
相変わらず元気だなあ、と、思わず笑みがこぼれる。
「おはよう、楓」
あいさつを返すと、楓は軽々とあたしの背中から降りてクラス表を指差した。
「またクラス一緒だよ! 心音も! やったね!」
あたしの隣に並んでうれしそうに、にこにこと笑う。
田沼楓は、高校に入学したときからの友達。
ショートヘアがよく似合っていて、バレー部に所属している。
すごく社交的な性格をしていて、どっちかというと内気なあたしと心音をぐいぐい引っ張ってくれる、ありがたーい存在だ。
「楽しくなりそ~! あ、ところでさっき言ってたイケメンがなんとかって……」