手のひらを合わせて、小さく頭を下げる。



凛ちゃんの大きな手のひら。


高校生のときより伸びた髪の毛。


なんだか、見とれてしまう。



かっこよくて、優しくて、あたしより5歳も年上の幼なじみ。



「なんだよ、ひま」


「へっ!? いや、なんでもないよ!」


「すげー視線感じたんだけど」



おもしろそうに笑いながら立って、あたしと向かい合う。



ドキッ。


凛ちゃんは、こんなに背、高かったのか。



さっき、話の中で実家の荷物をまとめたり新居の掃除をすると言っていた。


あと、仕事に関する勉強もしたい、と。



だから、もう帰ってしまう……。



「……またな」



まぶしそうに放たれた言葉に、あたしは首を傾げた。



「またな」って、また会うに決まってる。


凛ちゃんとあたしは幼なじみだ。



……なんで凛ちゃんは、切なそうな表情でそんなことを言うんだろう。



残された余韻は、静かなようで心をざわつかせるには十分だった。