海、プール、花火大会、遊園地……。
たくさん思い浮かぶけれど、凛ちゃんとだったらどこだって楽しい。
そう思うと行き先に迷ってしまって、凛ちゃんにそれを伝えると「かわいいこと言ってくれるよなぁ」って笑ってくれたっけ。
「泊まるところもね! 部屋から海が見えるんだって。 すてきだよね〜」
「凛くんだから信用してるけど……。 日葵はまだ高校生だから、その辺りのことはわきまえるのよ」
「へっ、う、うん!」
お母さんがなにを言いたいのか、あたしにだってわかる。
若い男女が一夜を共にする。 そういう雰囲気になる心配だってあるはず。
まだ、凛ちゃんとはそうならないけれど……。
「お母さんとこういう話するのは気まずいなぁ……」
「あら、大切なことじゃない」
わかってはいる。 でも、気恥ずかしい。
凛ちゃんが挨拶しに来てくれなかったら、自分から凛ちゃんとのことを話せなかったと思うし。
「と、とりあえずお土産! 買ってくるからね!」
「慌てちゃって。 お父さんには秘密にしておくから、安心しなさい」
どこまでも協力的な母親だ……。