夏休みに入って、学生は休めたとしても社会人に長期休暇なんてない。
凛ちゃんが丸2日休みをもらえた8月初旬、一泊二日の旅行に行けることになった。
「日葵ってば、にやにやしすぎ」
「えっ、そ、そうかなぁ」
リビングで旅行に持っていく手荷物を確認していたら、お母さんに指摘された。
思わずほっぺたに手を当ててみるけど、そんなことでわかるわけがない。
「旅行、どこに行くんだっけ?」
イスに座ってコーヒーを飲むお母さんの表情は、興味津々といった感じ。
凛ちゃんがお母さんにきちんと話してくれたおかげで、隠し事が一切ない。
照れくさいけど、こういう話をお母さんとできるのって幸せだなぁ。
「凛ちゃんの運転で海辺のカフェにいくんだ〜。 夜は花火大会もあるんだって」
「へえ〜、夏らしくていいわね」
「うん。 あたしが行くところ迷っちゃって、凛ちゃんが色々調べてくれた」