「やっ、凛ちゃ……」



もう、だめ。


ぎゅっと目をつむると、視界が真っ暗になる。



どうしよう。


この先は、こわい……。



「……はぁ」



ひとつ、小さなため息が聞こえて、あたしはおそるおそる目を開く。


呆れちゃったかな。 目をつむる行為は、凛ちゃんのことを否定してるようにも取れる。



「悪い。 余裕なさすぎだよな」


「へ……?」



苦笑いする凛ちゃんに手を差し伸べられて、そっと重ねると、引っ張り起こされた。


目の前には、照れたような、困ったような、らしくない表情をしてる凛ちゃん。



「ひまがかわいい顔するから、とめられなかった」


「り、凛ちゃん」


「キスの先は、おとなになってから……。 その時に、ひまをもらってもいい?」



あたしがその先をこわいとか、不安だと思う気持ちをすくうように、ことばを掛けてくれる。


なんて、おとななんだろう。 あたしにはもったいないくらい、かっこいい彼氏だと思う。