きみ以上に、好きな人はいない






「新しいお家は、勤務する高校から近いの?」


「んー、こことそんなに変わらないかな。 でも車で通うので近く感じると思います」



質問攻めなお母さんに、丁寧な受け答えをする凛ちゃん。


そんな付き合ってあげなくてもいいのに。 テキトーに流したらいいんだよ。



なんて思いながら、ズルズルと焼きそばをすする。


お母さんに質問に答えているから、凛ちゃんの箸は止まったままだ。



「はー! おいしかった!」


「あら、早いわね〜」


「お母さんが喋りすぎなの! 凛ちゃんもお母さんは無視して食べていいから!」



そんなわけにいかないよ、と笑う凛ちゃんに思わず唇を突き出す。


凛ちゃんの優しい性格は立派な長所だけどさ……。


優しすぎると騙されちゃうよ!


そのうち高いツボとか絵画を買わされそう!



「ごちそうさまでした」



他愛もない会話をしていると、あっという間に時間が過ぎた。