お母さんの優しいことばに不意打ちをくらって、涙が出そうになった。
「じゃあ、凛くんゆっくりしていってね。 ご飯ができたらまた呼びに来るからね」
お母さんは颯爽と部屋を出て行き、ふたりきりになった。
な、なにから話したら……。
「……とりあえず、部屋入ったら?」
「うん」
部屋の真ん中にあるテーブルを挟み、向かい合わせに座る。
先生の格好をした凛ちゃんが、あたしの部屋にいる、変な感じだなぁ。
「今日は仕事、早く終わったの?」
「ああ、終業式だったし、残業もなかったよ」
「凛ちゃんが来るなら、あたし早く帰って来たのに……」
こんなドッキリみたいなことしなくても、前もって言ってくれたら、落ち着いて話せるのに。
突然訪れたこの状況に、すぐ対応できるほど大人じゃない。
「ひまだって用事あるだろうし、俺が勝手に来ただけだから」
「……うん」
「順番がおかしくなってごめん。 こっち向いて」
うつむいていた顔を上げると、とびきり優しい顔をした凛ちゃん。
あたしだけが見れる表情。 特権だと思ってる。



