でも、かわいい夏服と帽子が買えたからよかった〜。
楓はストリート系のセンスが抜群だもん。 心音は清楚系だし、見習わないとな。
「ただいま〜」
玄関が開いていて、お母さんの仕事が休みなことを思い出した。
ふと、男物の靴が目に入る。 スーツに合わせるような、きっちりしたものだ。
ん? この靴は……。
「日葵おかえり〜」
「おかえり」
靴をまじまじと見ていると、リビングからお母さんがやってきた。
顔を上げると、お母さんのうしろから着いてきた彼と目が合った。
「凛ちゃん!」
「お邪魔してます。 遅かったな」
「楓たちと買い物に行ってて……。 っていうか、なんで来てるの?」
凛ちゃんあたしの高校の先生してるのに、こんな気軽に遊びに来たらダメじゃん。 あたしはうれしいけど!
ひとまずローファーを脱ぐ。 そして、部屋に荷物を置いた。
「旅行のこと、考えてくれた?」
部屋のドア枠にもたれて、首をかしげる凛ちゃん。
りょ、旅行……!!!
ドキーン!と心臓が跳ねる。