「日葵ったら、図星ね」
「お母さんうるさい」
「娘が反抗期で困っちゃうわー」
全然困ったって顔なんてしてないくせに!
お母さん絶対楽しんでるなこれ。
「凛くんは高校教師になったんだっけ?」
「はい。 数学の先生を目指していて、やっと叶ってうれしいです」
「すごいわねぇ。 日葵が中学生のとき、凛くん勉強ばっかりしててつまんない!って怒ってたの思い出したわ」
中学生のとき、凛ちゃんへの恋心が芽生えたから、それを理由に遊びには行ってなかったような。 だって恥ずかしかったんだもん。
ということはさておき、凛ちゃんが高校教師、か……。
すごいなぁ、凛ちゃんは。
夢を叶えて地元に帰ってきて、高校の先生として働くなんて。
なんだか急に、凛ちゃんが遠い世界に行っちゃったみたいに感じる。
あたしがずっと、同じ場所にとどまってるだけなのに。



