付き合う、か……。



好きなのに付き合うことができない。


凛ちゃんが彼氏だと言うことができない。



それはすごく苦しいし、切ない。



「日葵〜? 早く帰ろー!」



楓に呼ばれてハッと我に返って、慌ててリュックを背負った。


今日は歩いて来たから、3人並んで帰路に着く。



「もうすぐ夏休みだよね〜! どこか遊びに行こうよ」


「いいね〜! どこがいいかな?」


「一応受験生だけどさ、やっぱり思い出作りたいよね!」



楓と心音の会話をぼんやり聞いていると、受験という言葉が引っかかった。



あたしは将来、どんな仕事に就きたいんだろう。


見つかるのかな。


凛ちゃんみたいに、自分のやりたいこと見つけられるのかな……。



「もう日葵! ぼーっとしすぎ!」


「え、あはは、ごめんごめん」


「……九条先生のこと?」



心配そうな表情であたしを見つめる心音。