「最後に百合先生と写真撮ろうよー!」
あれから数日が経って、美浜先生の教育実習最終日がやってきた。
クラスの女の子がそんな提案をし、みんなぞろぞろと黒板の前に並ぶ。
いつもより長めのHRだ。
「あら、吉川さん」
席替えをして、真ん中の列の前から2番目になった。
みんなの勢いに流されて、気づいたらセンターにいる美浜先生の隣まで来ていた。
「ど、どうも」
写真を撮ろうと提案した女の子が廊下に出て、撮ってくれる人を探している。
早く終わらないかな……。
「大切な子って、あなただったのね」
「へ?」
「あたしも少し盗み聞きしちゃった」
「えっ……!?」
どこからどこまで知ってるのだろう。
美浜先生を横目でうかがうと、目を合わせてふっと笑われた。
「あたしが高校に来た初日、あなただって盗み聞きしてたんでしょ? おあいこよね」