「あたし平気。 凛ちゃんと付き合ってつらいなんて思わないよ」
「ひまは強いなぁ」
凛ちゃんの声は悲しげで、そのときにやっと、改めてあたしたちの今の関係を思い出した。
教師と生徒。
それがあたしたちの関係だ。
幼なじみでも、凛ちゃんが教師である限り、あたしがこの高校の生徒である限り……この関係は変わらない。
抗えない。
肩書きに、教師と生徒という関係に。
「あたしが強いと思うなら、付き合ってほしい。 ……でも、凛ちゃんを困らせるならやめる」
たった10ヵ月の辛抱だ。 あたしが高校を卒業するまで。 それだけ。
「困らせてなんかない。 ただ、好きなだけなのにな」
切ない表情であたしの頭をなでる。 その凛ちゃんの手は、少し震えている気がした。
凛ちゃんの想いを知ることができて、あたしと一緒だってわかって嬉しかった。
でも、いまはまだ我慢しなくちゃいけない。
その時が来るまで、あたしと凛ちゃんの関係は教師と生徒のままだーー。