できない……?


頭を見えないカナヅチでたたかれたような衝撃。



好き同士なのに、なんで……。



「俺の決意が鈍くてごめん。 本当はひまが卒業したら告白して付き合おうと言うつもりだった」


「え、じゃあ……」



早まるくらい、そんなの。 あたしだってずっと凛ちゃんが好きなのに。



ーーピロン。


ポケットに入れていたスマホが鳴って、通知だけ目を通す。



「卒業したら、ひまがほしい。 だめ?」



スマホを持ったままポカンと口を開ける。


画面には《日葵の名前登録してるから早くボーリングしよー!》と楓からラインが来ている。



「だめ……だめに決まってる! あたし、今すぐ……」


「日葵」



イスから立ち上がって、ゆっくりとこちらに向かう凛ちゃん。


射抜くようなまっすぐな瞳に、あたしは唇をかむ。



「お願い。 日葵のためなんだ」


「……あたしのため?」


「教師と付き合って、日葵につらい思いさせたくない」



つらい思いだなんて、しない。


凛ちゃんが決めることでもない……!