「……北村先輩」



「何?」




「これから、衣緒さんって呼んでもいいすか?」






俯いていた顔を上げた春川くんの表情は、何かに負けたような、しょうがないなと自分に呆れたような、そんなもので。



「まさかこうなるとは……」とブツブツつぶやいている春川くん。






「い、いいけど……」



いきなりどうしちゃったのかな。


展開の早さに、追いつけないんだけど…。








「あーあ。こんな予定じゃなかったんだけどな~」




「??」





「やべぇな。琉生、からかえなくなっちまった」








大きく腕を空に上げながら、ゆっくりと上半身を寝かせていき、地面に寝転がる春川くん。